正社員はあっという間に過剰になった

2011.12.02

今後も、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)など新興国の勃興を考えると、日本経済の存在感の低下というトレンドは変わらないだろう。第二に、個々の企業を取り巻く環境も大きく変化している。まず、実体経済を超えて巨大化した金融経済は企業経営を瞬時に大きく左右するし、冷戦が崩壊して多くの国が資本主義の競争に参加した結果、競争が激しくなって企業の存在自体が不安定化するようになった。それだけではない。銀行から資金を調達する間接金融から、株式市場から資金を調達する直接金融に変わって、企業は株式市場や株主を軽視できなくなっただけでなく、短期的視野で経営を考えざるを得なくなった。

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こんな環境の変化に直面して、経営者は人件費をなるべく安く抑えるために派遣労働者を多用したり、利益を出すために正社員でさえ容易に解雇するようになったりした。終身雇用を維持しようというインセンティブが低下したのである。その結果、景気情勢と雇用情勢がピタリと一致するようになった。簡単に言えば、会社の赤字が少しでも続くと、企業はすぐにリストラする。金融危機後の派遣切りなどは典型である。いくら非正社員といえども、不況からクビまでの時間が早すぎる。食品偽装などの不祥事も同様に、不祥事発覚から整理解雇までの時間が異常に短い。企業や経営者に「こらえる」「耐える」「なるべくクビにせずに抱え込む」という姿勢が見られないし、経済や競争の動きも速くて、経営者のそんな甘い態度を許すような情勢ではない。つまり、雇用は不安定で流動的になったということである。昨年の夏くらいまでは「人手不足だ」「非正社員をどんどんと正社員にしよう」と言っていたにもかかわらず、秋に金融危機が訪れるとあっという間に「人手余り」になった。実際、今年3月に厚生労働省が発表した「労働経済動向調査」によると、正社員が「不足」と答えた事業所の割合から「過剰」と答えた事業所の割合を引いた「過不足判断指数」はマイナスに転じており、2003年8月以来、5年半ぶりに正社員に対する過剰感が上回った。




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